パーソナルトレーニングの形態(パーソナルトレーナーの働き方)から考えるトレーナーやジムの選び方
目次
パーソナルトレーニングとは
パーソナルトレーニングとは、パーソナルトレーナーがマンツーマンで筋トレを中心とした指導・サポートを行い、ボディメイクや健康維持・向上など個別の目標を実現していくトレーニング形態、あるいはサービスのことを言います。
一般的には、利用者の目標をはじめ、状況・状態を細かく聞き取り、それに合ったトレーニングプログラム(メニュー)を作成、それをベースにマンツーマンでトレーニングを行っていきます。場合によっては栄養の指導や生活習慣の見直しを行い、目標実現へ向けて様々なサポートを行います。
アメリカにおいて、パーソナルトレーニングは古くから健康サービスの一つとして展開され、今では多くの人に認知、利用されています。パーソナルトレーナーは専門職として、医療専門職や栄養専門職などと連携しながら活動領域を広げ、目標や目的の多様化とも相まって多くの人がパーソナルトレーナーにトレーニングや運動の指導を依頼するまでになっています。
日本については、一昔前に比べると随分パーソナルトレーニングの認知度が高まってきました。ただ、誰に、どこに依頼すればいいのか分からない・・・、料金が高い・・・、効果が出るか心配・・・、等といったことがネックになり、増えてはいるがまだまだ一部の人の利用に留まっているのが現状です。
そこで、ここではパーソナルトレーニングを利用しようと考えている方々が、ファーストステップを踏み出すための選び方をお話ししたいと思います。よろしければ、参考にして下さい。
パーソナルトレーニングの現状と形態
現状
いまや総合スポーツクラブ・ジムをはじめ、24時間ジム、規模が小さなマイクロジム、女性専用のフィットネスクラブなど、いろいろなジムや施設があちらこちらで展開され、体づくり、スタイルづくり、健康づくりにおいて積極的な取り組みが盛んになっています。特に24時間ジムの成長はめまぐるしいものがあります。都市部では街を歩けば、ここにも、あそこにもといったように何件も見かけることが珍しくなくなりました。
そのような中、パーソナルトレーニングの需要も日に日に拡大している傾向にあります。細部にわたり洗練したい人、自分一人ではどうしてもできない人・続けられず挫折してしまう人、トレーニング方法だけでなく活きた知識も増やしたい人などが、積極的にパーソナルトレーニングを活用しています。
表立っているパーソナルトレーニングジムとしてはライザップがその最たるものではないでしょうか。それまで一般的でなかったパーソナルトレーニングを斬新なCMを打ち出して世の中に知らしめた功労者でもあると思います。
もっともこれは一部を切り抜いたに過ぎず、世の中にはパーソナルトレーニングを展開しているジムやトレーナーがたくさんいます。
むしろそちらの方に目を向けていただきたいと思います。なぜなら、ライザップも向き不向きがもあるし、指導方法に合う・合わないもあるからです。そして、料金が安くて同様の効果、あるいはそれ以上の効果が出せるジムやパーソナルトレーナーもたくさんいます。
つまり、パーソナルトレーニングは認知されてきているが、その中でもいろいろな選択肢がある事はあまり知られていません。適切な料金で最高の効果を求めるためには表面だけで選んではダメなのです。吟味し、選択することが必要なのが今のパーソナルトレーニングを取り巻く状況であると言えます。
今ではフリーのパーソナルトレーナーとして活動するケースや小規模のパーソナルトレーニング専門ジムを立ち上げるケース、あるいはサービスの一つとしてパーソナルトレーニングを始めた総合スポーツジムや24時間ジムもかなり多くなってきました。
そこで、選択を誤らないための一つの指標として、パーソナルトレーニングにはどのような形態があるのかを見ていくことにしましょう。
なお、「形態」は利用者側からの表現なので少々分かりにくいかも知れませんが、サービス提供側、つまりトレーナーを基準に表現するとパーソナルトレーナーの「働き方」になります。分かりにくい場合は、呼び方を変えて下さい。
それでは、見ていきましょう。パーソナルトレーニングを受けてみたいと考えている人は、自分にマッチするジムやトレーナーを探す時の取っ掛かりにしていただければと思います。
パーソナルトレーニング4つの形態(働き方)
トレーニングサービスを受けることを前提とした場合は、大きく分けて4つの形態があります。働き方とする場合は、さらに枝分かれしたり、別の働き方もありますが、ここでは直接的に顧客に対してトレーニングを指導する立場としての働き方であると考えて下さい。
パーソナルトレーニング専門ジム
パーソナルトレーニング専門のジムとしてマンツーマン指導に特化したトレーニングジム。
看板や窓にパーソナルトレーニングといった表示を掲げていることも多いので、見たことがある人もいるのではないでしょうか。
このケースでは、比較的小規模なジムが多く、トレーニングスペースの広さや設備に応じて、一人のトレーナーで運営している場合もあれば、複数のトレーナーで運営している場合もあります。
ジムの中はプライバシーに配慮して個室スペース(ライザップなど)になっているものもあれば、料金をリーズナブルにしてオープンスペースになっているものもあります。
どちらがいいかは好みの問題もありますが、料金などを度外視して環境面だけで言えば、人目を気にせず集中して行いたい人は個室、周りでトレーニングしている人がいる方が気合が入る、モチベーションが高まるといった人はオープンスペース。そのような選び方ができると思います。
マンションの1室で行うパーソナルトレーニング
個人のトレーナーが自前でマンションを借りて、その1室で行っているケースです。
このケースでは、ホームページからの集客もありますが、口コミや紹介による集客も大きく、人気トレーナーになるとセッションが予約でいっぱいになり、空きが出るまで待ちが発生することもあります。
プロスポーツ選手などアスリートも“この先生に教えてもらい”と言うことで、指名されて指導することもあります。
基本的には完全に貸切になるため、人目を気にせず集中してトレーニングすることができます。
料金はやや高め~高額のところまでありますが、比較的指導力に長けたトレーナーが多いため、一度顧客が付くと定着率が高い傾向にあります。
フリーのパーソナルトレーナー
拠点を持たずにフリーのパーソナルトレーナーとして活動している人も多くいます。基本的には市内や都府県内での活動ですが、場合によっては全国に出張するトレーナーもいます。
このケースでは、公共の体育館や契約ジム、あるいは顧客の自宅など、依頼に応じて場所を決め、そこでトレーニングを指導、実施します。
トレーニング器具等の設備投資の必要がない為、初期投資は少額で済みますが、指導場所の設備にバラつきがあったり、体育館などでは他の利用者がいる中での指導となるため人の目が気になったりとサービスや環境が安定しないといったデメリットがあります。
“このトレーナーに教えてもらいたい”等といった確たる理由があれば、比較的安価なので利用しやすいと思います。
契約ジム利用になると、ジムのビジター料などが上乗せされる場合があるので、やや高くなることもあります。トレーナー自身がジムの会員になっていたら会費のみでパーソナル指導にも利用していいというようなケースもありますので、その場合は体育館や自宅並みにお得に利用できます。
また、現在トレーニング受けている人からの紹介であれば、知らないトレーナーよりも信頼できるトレーナーであると言えます。ただ、感覚的に合う、合わないの問題もありますし、技術力があるとも限りません。
いずれにしても、最初に良いトレーナー、合うトレーナーに出会えればいいですが、実際に指導を受けて違うかなと思ったら別のトレーナーを探すといった冷静かつ、柔軟な判断も必要になるかと思います。
トレーニングジムのサービスの一つとして
総合スポーツクラブや24時間ジムでもサービスの一つとしてパーソナルトレーニングサービスを行っているところが多くなってきました。
この場合は、大きく分けてジムのスタッフがパーソナルトレーニングを兼務するパターンと外部のパーソナルトレーナーがジムに登録をして指名があったら対応するパターンがあります。
スタッフが兼務するパターンでは、人件費に対する費用対効果を高められるため、ジムは売上アップを目指してパーソナル会員を増やすことに注力しています。
外部トレーナーのケースでは、ジムが会員に告知や紹介するパターン、あるいはジムに掲示してある写真や実績を見て指名を受けるパターンがあります。
外部トレーナーの多くは前述したフリーで活動しているトレーナーが多くを占めます。一定のトレーニング設備があればどこでも指導ができるフリートレーナーのメリットが活かされている好例と言えるでしょう。
ただ、トレーニングジムのパーソナルトレーニングサービスは実績があまり表に出ていないこともあるので、やってみたいと人柄や実力、効果が分からないといったデメリットがあります。無料の1回体験コースなどをやっているジムもあるので、まずはそれを受けて“このトレーナーに指導してもらいたいか、そうではないか”を判断することをおすすめします。
なお、これらのケースでは、ジムの会員向けとしてサービスが基本となるため、月会費と同時にパーソナルの料金が発生します。そのため、パーソナルの料金は比較的安いと言えますが、それでも費用はかさばりますのでご注意を。
パーソナルトレーニングの選び方(例)
どのような形でパーソナルトレーニングが展開されているのかを見てきました。
これらを意識しておくことは、自分の希望や状況にマッチするトレーナーやジムを見つけたり、選ぶ上で一つの手がかりとなります。
担当するトレーナーの違い(パーソナル専業トレーナー、ジムスタッフなど)、能力の違い、実績の違い、価格・費用の違い、設備の違い、個室・オープンスペースの違いなど、いろいろな違いがあるわけですが、まずはこれらの中から譲れない部分、欲しいサービスなどをイメージして消去したり、ピックアップしたりして絞り込んでいきます。
費用を抑えたい場合
例えば、ジムの会費に加えてパーソナルトレーニングの費用を払うのはちょっと厳しいといった場合。
その場合は、ジムサービスのパーソナルは除外することになります。そして、料金が第一条件であるなら、パーソナル専門ジムも料金が高めの場合があるので保留。その中で絞っていくことでリーズナブルなのは拠点を限定しないフリーで活動しているトレーナー、あるいはマンションでのパーソナルとなります。
絞った2つについてホームページなどから集中的にピックアップし、候補を選びます。中には料金設定を高めにしているトレーナーやジムもあるので、さらに絞り込んで最終的には実績、トレーニング場所、ジム所在地、経験年数などから「この人にお願いしたい!」、「このジムでパーソナルを受けたい!」というトレーナーやジムを選ぶようにします。
効果を優先する場合
最短で最高の結果を出してくれれば、料金はあまりこだわらない。そんな場合は、パーソナルトレーニング専門ジム、あるいは実力のあるパーソナルトレーナーに絞って依頼するのがむやみに選ぶよりも失敗を防ぎやすくなります。
専門ジムは、料金が高めですが、比較的設備やサポート体制がしっかりしていて効果を出しやすいでしょう。ただ、一概には言えませんがオーナーは実力者が多く、スタッフとして働いているトレーナーは経験が浅いトレーナーから経験豊富なトレーナーまでいろいろ在籍しています。そのため、できればオーナーに担当になってもらえるのがベストですが、スタッフの場合でも経験年数や実績などを聞いて、それにより判断する方法もあります。
もちろん、経験が浅くても実力あるトレーナーもいますし、経験が長くても人によっては教え方が合わないようなトレーナーもいます。ただ、経験年数は“やってみないと分からない部分が多いパーソナルトレーニング”のミスマッチをできるだけ防ぐための重要な判断材料になることは確かです。そのため、口コミや知り合いからの紹介などがない場合にジムやトレーナーを絞り込むための大きな手がかりとして重要な指標となります。
また、長く運営しているジムは、それだけ顧客が定着している証拠なので、ジムを開設してからの年数なども一つの判断基準になるでしょう。
実力のあるトレーナーについては、探すのは簡単ではありませんが、パーソナルトレーニングを受けている知り合いがいれば紹介してもらうのがベストです。紹介できると言うことは、知り合いは効果が出ている証拠ですし、信用できるトレーナーであることも担保されています。
その際は、どのような形でトレーナーとして活動しているのか、そして料金はどのくらいか、得意な分野(細マッチョやダイエットなど)は何かなどを聞いて、希望にマッチしそうだったら紹介してもらうようにするとミスマッチを極力避けられるでしょう。
また、無料体験や体験割引をやっているトレーナーやジムを探して、体験を通じてトレーナーの人柄や教え方、実力を見極めるのもいいかも知れません。いくつか体験してみることで、教え方に違いがある事に気づき、目立ってないだけで意外と隠れた実力あるトレーナーに出会えることもあります。
慣れた環境・器具でトレーニングしたい場合
すでにジムに通っている人は、別途費用は掛かりますが、ジムのパーソナルトレーニングサービスを利用するのがスムーズにトレーニングできますし、トレーナーが複数いるのが普通なので時間も調整しやすいでしょう。
指名しない場合や指名できない場合は、どのようなトレーナーが担当してくれるか分かりませんが、スタッフがパーソナルを対応するケースでは、それぞれのトレーナーがどのような人かは感覚的にでも分かっていると思うので、よさそうなトレーナがいればそのトレーナーを指名するのが無難だと思います。
外部トレーナーが担当する場合は、スタッフにどのようなトレーナーか聞いたり、プロフィールが書いてあるポスターが貼ってあったら、しっかり読んで判断するようにしましょう。
ジムのサービスを利用する場合は、慣れた環境・器具でトレーニングでき、ストレスも少なくパーソナルトレーニングに入ることができます。
まずは1回無料体験や割引体験を利用して、パーソナルトレーニングがどのようなものか、ぜひ体験してみて下さい。
また、自宅に器具・道具があれば、工夫していろいろなトレーニングをすることができます。この場合、出張サービスに対応しているフリーのトレーナーやジムを利用することで、慣れた器具を使えるし、自宅なので集中してトレーニングすることができます。移動時間がないので、時間の節約にもなるでしょう。
道具が全くない場合もトレーニングすることができますが、目的によっては効果の出方が遅くなったり、ある程度のところで成長が伸び悩んできます。工夫すればある程度の効果は期待できますが、トレーナーの実力にも大きく影響するので注意が必要です。
そのため、できればダンベルとベンチが既にあるか、用意できると随分出来ることに幅と厚みが出て、効果の出方も良好なものになるでしょう。
ダンベルは、できればパワーブロック(重さの切り替えがワンタッチできるダンベル)を用意できると万全です。もちろん、ジムと同じように1kg~10kg、12kgから2キロ刻みで20~30キロ程度まで用意できれば最高ではあります。
最後に
このように形態や選び方を見てきましたが、何を条件にするのか、何を希望するのか、何が譲れないのか、何が欲しいのか、まずはしっかり考える必要があります。考えがまとまったら、それを元にトレーナーやジムを選んでいきます。
しっかり検討、選択することでコストパフォーマンスを適正なものにすることができますし、不満なく気持ちよく楽しくトレーニングすることができます。そして、効果の出方も理想通り、あるいはそれ以上になって返ってくることあるでしょう。
このような好循環によって運動を継続でき、ずっと健康で若々しい体と心を保つことにも繋がります。
逆に何も判断基準、選択基準がないまま選ぶとミスマッチが起こりやすく、結果的にトレーニングが続かなくなったり、無駄な出費になってしまうこともあります。
トレーナーやジムの形態による選び方は一般の人からするとマニアックな部分もあるかも知れませんが、そこからトレーナーやジムのいろいろな側面が見えてきます。これからパーソナルトレーニングをやってみたいと考えている人は、ぜひ参考にして下さい。
目的、目標はそれぞれですが、せっかくトレーニングを始めようとしているのだったら、できるだけミスマッチは避けたいものです。
あなたが良いトレーナーやジムに巡り合い、良い結果を出していただくことを心よりお祈りします。