腹筋ローラーを実現するための段階的トレーニング法。5つの方法で強く引き締まった体幹を手に入れよう!
目次
初心者でも腹筋ローラーができるようになる!
体を伸ばしていき、最後は床にできるだけ近づけていくような腹筋ローラーの完全形態を行うのはなかなか難しいことは確かで、最初からできる人はなかなかいません。
体の伸ばしていくたびに体幹部を中心に強烈な負荷が加わります。耐えきれずに途中でバタッと潰れてしまうのがオチだったりします。
あるいは、これ以上伸ばしたらやばいと感じて、途中で動作を止めてしまうこともよくあります。
このように完全形態をきちんとできなくて、腹筋ローラーを手に入れたはいいけど途中で挫折してしまう・・・、そんな人が多くいます。
それではもったいないです。
腹筋ローラーは、体幹周りを中心に非常に高い筋トレ効果があります。せっかく腹筋ローラーをやってみたいと思ったなら、まずは完全形態を完成できるまで頑張って下さい。
そこで、今回は初心者からでも腹筋ローラーができるようなるための段階的にステップアップしてくトレーニング法をご紹介します。
強度別に5つの方法がありますので、1番目から徐々に体力を付けて5番目の完全形態までステップアップしていきます。順を追ってトレーニングしていくことで腹筋ローラーのフォームも自然に身についていきます。
続けていくことで、必ず完全形態が実現できるようになります。1回できたら、さらに鍛練してくことで必ず回数も伸びていきます。
正直、きつくて嫌になることもあるかも知れません。本気でできるようになりたい、何としても体を引き締めたい、スタイルアップしたい、そんな気持ちを持っているなら、絶対にできるようになります。
あきらめずに頑張って下さい!
腹筋ローラーとは?
腹筋ローラーは、ホイールにハンドルが付いた筋トレ器具で、アブローラーやアブホイールとも呼ばれます。
ホイールが2つ付いた安定感のあるもの、小さな車輪が4つ付いたもの、ホイールが一つでバランス力が求められるものなど、いろいろな種類がありますが、例えばこんな器具です。私が実際に使っているローラーです。
どの種類を使うかは好みや実践する種目で選ぶことになりますが、特にこだわりがなければホイールが1つのシングルか、2つが合体したものを選んでおくと初心者から上級者まで幅広く活用できますし、一般的な種類なので使い方ややり方の情報を容易に得ることができます。
ホイールが分離して2つ付いているダブルはバランスがとりやすいだけあって、シングルや合体に比べると強度は落ちますが、やりやすさもあり初心者には十分なトレーニング効果をもたらします。
ただ、安定感があるため、細かい筋肉の強化や体力アップの過程で強度が不足してくることが予想されます。そのため、最初はダブルを使っていたとしても、ある程度体力が付いてきたらシングルまたは合体に切り替えて行う方が強化していきやすくなります。このあたりは体力に応じて検討するようにしてみましょう。
腹筋ローラーで鍛えられる筋肉
腹筋ローラーは腹筋とついているだけあって、腹筋が鍛えられることは確かですが、どちらかと言えば体幹トレーニングとしての意味合いが強いトレーニングになります。
これは動作するときの筋肉の働きに違いにあるためです。
腹筋を鍛えるポピュラーな種目と言えば、クランチが挙げられますが、クランチはお腹を丸め込むようにして上背部を浮かすことで、腹直筋を収縮させて動的に鍛えます。それにより、腹筋は肥大の方向へと向かいます。
一方、腹筋ローラーは股関節を屈曲しますが、股関節の屈曲は腹直筋の収縮には関与していません。そして、腹筋ローラーで体を伸ばしていくときは体がバタット落ちないように腹筋などの筋群を固めることで動作をしています。
つまり、一連の動作の多くが絶妙なバランス力と筋肉の固定力によって実現されているのです。それにより、肥大はそれほどでもないが、強く引き締まった腹筋を作ることができます。見た目以外の部分では、スポーツのパフォーマンスアップに貢献することになります。
このことから腹筋ローラーは腹筋トレーニングと言うよりも体幹トレーニングに属する筋トレである理由になります。
もっとも広い意味で言えば、腹筋トレーニングの中に体幹トレーニング(腹筋周りに関して言えば)が含まれていると考えられるので、腹筋トレーニングと言っても間違いではないでしょう。
ただ、どのような効果が期待できるかどうかを明確にするなら、腹筋トレーニングと体幹トレーニングは分けて考えるべきなので、ここでは腹筋ローラーは体幹トレーニングとして区分したいと思います。
あと、腹筋ローラーは体幹だけが鍛えられるわけではありません。
それは肩関節に関与する筋群です。肩関節を動作させながらも力が抜けないように強く固定することがすることが求められます。
具体的には、肩の筋肉・三角筋や二の腕の筋肉・上腕三頭筋にも強い刺激が入ります。三
三角筋については、肩関節の屈曲運動のフロントレイズに近い動きが入るので三角筋前部が強化されます。上腕三頭筋については、前方へ移動していくに従いアイソメトリック収縮が強く起こり二の腕は引き締められます。
このように一見、腹筋ローラーは腹筋トレーニングであるようですが、実は体幹トレーニングであり、さらには肩や二の腕も鍛えられる種目であることが分かったかと思います。
それでは、実際に腹筋ローラーを実現していくための段階的トレーニングを動画で学んでいきましょう。
腹筋ローラーを実現する5段階トレーニング
5つの方法があり、1番(アブホイール・プランク)が最も負荷が低く、5番目(完全形態=スタンディング・アブホイール・ロールアウト)が完全形態として最も負荷が高くなっています。
なお、1番目のアブホイール・プランクを紹介した後にアブホイール・プランクが難しい人向けにビギナーズ・アブホイール・プランクとして難易度が低いやり方が紹介されています。
基本は、ビギナーズ・アブホイール・プランクを除いて5つの段階的トレーニングになっていますので、アブホイール・プランクができる人はビギナーズを飛ばして下さい。できない人は、ビギナーズから開始して出来るようになったらアブホイール・プランクにチャレンジするようにして下さい。
焦る必要はありませんので、1番目からしっかりと集中して取り組んでいきましょう。
(1)アブホイール・プランク
腹筋ローラーの上で腕立ての姿勢のまま静止する筋トレです。
腹筋ローラーを両手で握ったら床に着けて肘を真っ直ぐに伸ばします。肩の真下にローラーが位置するように固定して、脚をうしろに伸ばします。ローラーを床に突き刺すつもりでガッチリ固定し、1ミリも前後に動かないようにするくらいの気持ちでキープします。
フォームとしては一般的なプランクよりも難易度と強度が低いアームスタンディングの姿勢を取りますが、それをローラーの上でやるため不安定さが加わり難易度は急上昇します。
筋力が低い段階だと、ローラーが少しでも前後に移動すると途端に姿勢を保持できなくなります。肩の真下でガッチリキープすることに意識を集中して下さい。
また、プランクに共通することですが、頭からかかとまでを一直線にして固定するようにします。この体勢を保持することで、完全形態の時に体を伸ばしたときに腰が曲がらない強い体幹を作るベースとなります。
60秒間キープできるようになったら、(2)のムービング・アブホイール・プランクに進みます。
トレーニング方法としては、限界までキープ×1~3セット、セット間休憩60秒の形式で行っていくとよいでしょう。最初は1セット、体力が付いてきたらセット数を増やすようにしてみて下さい。
どうしても体を一直線にキープできなかったり、ローラーを固定することができない場合は、(1)-2のビギナーズから始めてみましょう。
(1)-2.ビギナーズ・アブホイール・プランク
ビギナーズは(1)のアブホイール・プランクができない人が最初に取り組むべきトレーニングです。
アブホイール・プランクとの違いは、脚を伸ばして姿勢を取っていたのを膝立ちになる姿勢に変形させてキープすることです。
上半身が起き上がることで負荷が小さくなり、随分やりやすくなるのを実感できると思います。膝立ちになることで体の長さが短くなるので、この点でも負荷が低くなっています。
つまり、体の傾きと膝立ち、この2つの変形により負荷を軽くすることで、体力が低い人でも取り組みやすい筋トレになっているのです。
肩の真下にローラーを置くことと、頭から膝までを一直線にしてキープすることが大切になります。キープ中はお腹に力を込めるようにし、腰が曲がったり、反らさないようにすることに注意しながら、正確なフォームでトレーニングしてきましょう。
(2)ムービング・アブホイール・プランク
(1)のアブホイール・プランクが60秒キープできるようになってきたら、ムービング・アブホイール・プランクで次の段階にステップアップします。
腹筋ローラーを床に付いて、中腰になった姿勢からスタートポジションです。この姿勢から、ローラーを転がして前に進みます。
野外で行うときは、出来るだけ遠くにできなくなるまで前進します。突き当たっても限界になっていなければ向きを変えて続けて行うようにして下さい。
自宅で行うときは、一番距離が取れるスペースを探し、そこでローラーが壁に付いたら向きを変えて往復する形で続けていきます。限界まで繰り返してください。
動作中に腰を上げ過ぎてもいけませんし、下げ過ぎてもいけません。背中を床と平行にして動作するのがベストな方法になります。
体幹が強化されることはもちろんですが、特に肩~腕にかけての筋群に持続的な刺激が入ります。それによって腹筋ローラーの完全形態で腕を伸ばしていくときに耐える力を身に付けていきます。
正しいフォームで60秒間動き続けるようになったら(3)のニーリング・アブホイール・ロールアウトにレベルアップします。
限界まで前進×1~3セットでメニューを組んでみましょう。
(3)ニーリング・アブホイール・ロールアウト
ニーリング・アブホイール・ロールアウトは、腹筋ローラー完全形態の難易度を落とした方法としてよく知られています。
動作としては、膝を付いて体を伸ばしていく方法になります。そうすることで、完全形態よりも長さが短くなった分、負荷が落ちて随分と動作がしやすくなります。実際の動きに即したトレーニングなので、体幹を伸ばす力をしっかり付けていくことができます。
動作しやすいといっても、初心者にとっては非常にきついトレーニングですので、この方法を最初からやるのではなく、(1)から段階を追ってトレーニングすることをおすすめします。体力が低いうちからやってしまうと伸ばした時に顔面を強打することもありますので十分に注意して下さい。
腕が顔の横にくるくらいまでしっかり伸ばしたら、逆の軌道をたどって元の姿勢に戻ります。戻るときに腕が先に動作して、腕の力で起き上がってしまいがちになりますが、これでは肩や腕の強化トレーニングとしての意味合いが強くなり、腹筋ローラー本来の役割である体幹強化を十分に行うことができなくなってしまいます。そのため、体幹の力、腰を屈曲する力と連動させるようにして戻るようにしてみましょう。
安全にトレーニングするためには、最初は少し移動して戻るといった方法で、稼働する範囲を狭くして行うのがベストです。そして、徐々に伸ばす範囲を広げることで体力を付けていきながらしっかり伸ばせることころまで持っていくようにします。
正しいフォームで60秒間動き続けるようになったら(4)のリバース・アブホイール・ロールアウトにレベルアップします。または、ここでのトレーニングと(4)を並行してトレーニングを行ってもよいでしょう。
限界まで反復×1~3セットでメニューを組んでみましょう。
(4)リバース・アブホイール・ロールアウト
リバース・アブホイール・ロールアウトは、手ではなく、足で腹筋ローラーを転がすというユニークなトレーニングです。
腕立ての姿勢を取ったら、ローラーのハンドルに足を乗せます。この状態からローラーを体の方に引き付け、しっかり引き付けたら伸ばす動作を繰り返します。ローラーが遠いと足を乗せにくいので、体に引き付けたところからスタートしてもOKです。
意外なトレーニングと思うかも知れませんが、効果は抜群です。
下腹部を起点とした筋トレなので、完全形態で伸ばすときに下腹部側からしっかりと支える力を身に付けることができます。体幹を鍛えながら、下腹部の引き締めにも効果的なので下腹が気になっている人にもおすすめです。
腰が落ちてこないように注意すれば、下腹部の筋トレ「レッグレイズ」よりも腰への負担が少ないので安全にトレーニングすることができます。ただし、動作はレッグレイズよりも難しくなりますし、肩や腕の筋力も使うので疲労度は高くなります。下腹部を引き締めたい人は、自分の体力ややりやすさに応じて選択するとよいでしょう。
動作中に腰の位置を背中よりも高くしてしまうと負荷が抜けてしまうので、動作を通じて腰は背中と同じ高さか、低くすることが大切です。ローラーを引き付ける時、膝を床に近づけていくイメージで行えば、腰が高くなることを防げます。
ポイントは、しっかり膝を体の方に引き付けることと、逆に伸ばしたときは体幹が真っ直ぐになるようにすることです。また、伸ばした時に腰が落ちて反ってしまう場合があるので、気を抜かずに動作するようにして下さい。くれぐれも中途半端に動作することのないようにトレーニングを進めていきましょう。
トレーニング方法は、限界まで反復×1~3セットでメニューを組むようにします。
60秒間連続で反復できるようになったら、いよいよ完全形態の(5)のスタンディング・アブホイール・ロールアウトを実現していきましょう。
(5)スタンディング・アブホイール・ロールアウト
さあ、いよいよ腹筋ローラーの完全形態です。
立った姿勢で腰を曲げて腹筋ローラーのハンドルを握ります。これがスタートポジションになります。ここからローラーを前に移動して体を伸ばしていきます。伸ばし切ったら、逆の軌道をたどってスタートポジションに戻ります。
腹筋ローラーを完成させるためには、意識を集中させて、全筋肉を連動させることが必要になります。非常に難しい筋トレですが効果はお墨付きです。
伸ばしていくときに体幹を全力で収縮させるようにするとやりやすくなりますし、安全に行うことができます。つまり、動作の過程で移りゆく負荷に備えて、前もって体幹・腹筋を固めるようにすることです。そうすることで体幹の力がクッションとなり、突然力が抜けることも極力避けられますし、楽になるポイントを作らないことで効果を高めることもできます。
また、体を伸ばしたとき、肘は真っ直ぐに伸ばし切らないようにするのがポイントです。見た目では分かりづらいですが、体を伸ばし切った時にわずかに曲げた状態にしておきます。つまり肘関節をロックしないようにするんですね。そうすることで、肘関節を痛める危険性を抑えることができるし、腹筋ローラーの実現をサポートするための肩や腕の力も十分に発揮できるようになります。
腹筋ローラーの反復回数を増やして、より強い体に
完全形態までたどり着けたあなたは、すでにお腹周りや肩腕周辺を中心に随分と引き締まったスタイルになっていることと思います。
あなたは、腹筋ローラーの完全形態にチャレンジする権利を手に入れたのです。
さあ、ここまで頑張ってきた成果を試していこうではありませんか!
ただし、あまり自信過剰にならず、安全にだけは注意して行って下さい。特に伸ばした時に力が抜けて顔面から落ちてしまうことはよくある事なので、最初は慎重を期して徐々に焦らず伸ばしていくようにして下さい。
おそらく、(4)までできていれば1回はできるようになっていると思います。ここから反復回数をどれだけ伸ばしていけるかが勝負です。伸ばしていくことができれば、さらに体に磨きをかけることができ、より強い体幹、より引き締まった腹筋に変貌を遂げることでしょう。
それでは、健闘を祈ります!あなたにとって素晴らしいトレーニングになることを願っています!