【10種類】鉄壁の背中を作る!懸垂のバリエーションを取り入れて破壊力ある背筋を手に入れよう!
目次
懸垂のやり方に変化を付けて新鮮な刺激を与えよう
懸垂は、チンニングやプルアップなどと呼ばれ、広背筋を鍛えるのに最も効果的な自重トレーニングだとされています。バーの握り方や手幅によっては上腕二頭筋(力こぶ)を鍛えるトレーニングにもなる変幻自在のトレーニングです。
チンニングとプルアップはバーの握り方で区別される場合もありますが、総称してチンニングと呼ぶのも一般的です。ここではどちらの方法にも共通する和名の「懸垂」としてご紹介します。
一般的にはバーを順手で広めに握る方法が広背筋、逆手で狭く握るのが上腕二頭筋とされています。ただ、どちらか一方の筋肉しか働かないというわけではなく、肘を曲げて引き上げる動作(引く動作)では機能解剖学的にはどちらの筋肉も働くことになります。
つまり、握り方や手幅の違いは、広背筋寄り(メイン)なのか上腕二頭筋寄り(メイン)なのかの違いとして、目的に合わせて選んだり、あるいは上腕二頭筋メインの方法だけど広背筋の刺激を変えたいといったバリエーションとして用いられることになります。
このように懸垂は意外と奥が深いので、しっかりと方法も習得することが必要です。
マンネリや成長の停滞を防ごう
懸垂もワンパターンで、ずっと同じことを続けていてはマンネリ化し、やがて成長は停滞してしまうことになります。そうなるとやる気も湧かなくなったり、筋トレを止めてしまうことにもなり兼ねません。
そこで今回は、それらを防ぎ、打破するために通常の懸垂に加えて、違った刺激を与えることができる少しユニークなバリエーション(種類)をご紹介します。
変化を付けることでマンネリ化を防ぐことができるし、成長の停滞も防止、あるいは停滞しているならば打破することができるようになります。
懸垂はバーや握るところがあれば手軽でき、かつ効果的な非常に優れた自重トレーニングです。
ぜひ、鉄壁の背中、絞り上げられた背中を作るために諦めずにトレーニングを進めていって下さい。
簡単なようで難しい。懸垂のポイントを抑えておこう
懸垂は、「バーにぶら下がって体を引き上げる筋トレでしょ?」と思っている人も多いと思いますが、単純なように見えて実は奥が深く、意外と難しいトレーニングでもあります。
安全に、そして効果的にトレーニングするためにはポイントも抑えて、実際の動作の時は意識しながら行うことが大切です。
広背筋を鍛える一般的な懸垂のポイントを抑えておくことで、いろいろなバリエーションにも応用できますので、まずはベーシックな懸垂の方法を確認しておくことにしましょう。
ベーシックな懸垂の方法
一般的な懸垂については、バーの握りはアンダーハンドグリップ、いわゆる順手の握りになります。握り幅は、肩幅よりも広めにとります。このポジションがベースになりますので、ただ握るのではなく意識して握って下さい。
ぶら下がった時は、肘を真っ直ぐに伸ばさずわずかに曲げた状態からスタートします。そして、動作中に体を下ろしたときも伸ばし切る直前で動作を切り返して反復するようにします。
脚については、膝を曲げ足を交差させて安定させるようにします。膝を曲げずにやる方法もありますが、曲げた方が重心を取りやすく安定感が出ます。
バーにぶら下がって基本姿勢ができたら、肘を曲げて体を持ち上げていきます。
この時、何も考えずにやると垂直に引き上げてしまいがちになりますが(真上に体を引き上げる形)、これでは、広背筋を重点的に刺激することができません。
そこで広背筋をしっかり刺激するために顔がバーから遠ざかっていくイメージで胸を張りながら体を引き上げていくようにします。フィニッシュはバーが鎖骨または胸の上部に付いたところになります。
体を引き上げると言うよりもバーを胸の方に近づけていくイメージで動作するとやりやすいかも知れません。
しっかり引き上げたら、力を抜いて下ろしていくのではなく、ブレーキをかけながらゆっくりと下ろしていくようにします。このとき、上述したように肘は伸ばし切らずに僅かに曲げた状態でストップし、すぐに切り替えして再度体を引き上げます。
また、引き上げる際にはバーを真っ二つにへし折るくらいの気持ちで動作すると力を発揮できますし、広背筋に効きやすくなります。
以上のように最初だけは、しっかりとフォーム作り、動作全体の習得に努めるようにしてみましょう。
詳しくは、チンニング(懸垂)入門で詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
上腕二頭筋に効かせるやり方
ベーシックな懸垂とは逆にアンダーハンドグリップ(逆手)で握って、手幅を肩幅よりも狭くすると上腕二頭筋(力こぶ)の動員力が大きくなるので、主に力こぶを鍛える方法として用いられることがあります。もちろん、広背筋にも刺激入るので広背筋のトレーニングとして刺激の入れ方、方向に違いを持たせる場合にも用いられます。
このように握り方や手幅の違いもバリエーションになり、メインで効かせる筋群にも違いが出てきますので、単にぶら下がって体を持ち上げる意識でいては目的とする効果を期待できなくなってしまいます。
何を目的にトレーニングするのか、どのような方法で行うかをしっかり判断し、意識して行うことが大切です。
以上の点を踏まえて、オーソドックスなチンニングとバリエーションを見ていきましょう。
いろいろな懸垂のバリエーション
懸垂にはいろいろなバリエーションがありますが、ここではノーマル(一般的)な懸垂を含めて10種類のバリエーションをご紹介します。
動画では変化を付けた方法を連続して行うメニューとして紹介していますが、初心者の人はまずできないと思います、そのため、初心者の人については、まずは一般的な懸垂をこなせるようになることを目標とし、しっかりできるようになった次の懸垂に進む、このような形式で段階を踏んで進めていくことをおすすめします。
一般的な懸垂が完璧に10回できるといった場合は、動画に習って連続で行う方法にチャレンジしてみるのも良いでしょう。
懸垂の種目解説
今回の種目は次の通りです。
- スタンダードプルアップ
- コマンドプルアップ
- 1・1/2レップス
- アラウンド・ザ・ワールド・プルアップ
- プライオ・プルアップ
- サイクロン・プルアップ
- フロントレバー・プルアップ
- 1アーム アシステッド・プルアップ
- ヘッドバンガー・プルアップ
- スタンダードプルアップ(スロー版)
スタンダードプルアップ
スタンダードプルアップは、通常の懸垂です。
正確なやり方を身に付けるには、何度も意識して、実践することです。もう一度、やり方を確認しておきましょう。
手幅を広めにとりオーバーハンドグリップ(順手=前から握るグリップ)でバーを握ります。ぶら下がったら肘を伸ばし切らずにわずかに曲げた状態でスタンバイします。この時膝を曲げ足も交差させておきます。この姿勢がスタートポジションになります。
ここから肘を横に開き、胸を張るようにして体を引き上げていきます。
鎖骨または胸の上部がバーについたらゆっくりと下ろしていきます。反復途中で鎖骨や胸にバーを付けることが難しくなってくる場合もありますが、その場合は途中から出来るところまで引き上げる形でOKです。ただし、正しい動作で行うことを守り、フォームがガタガタになるようだったら、そこで反復を終了するようにします。
下ろしたときも膝を真っ直ぐに伸ばさず、わずかに曲げた状態を保つようにして下さい。
10回を目標にトレーニングしてきますが、最初のうちは遠い目標に感じる人もいるかも知れません。体力によっては1回もできないこともあるでしょう。
でも、ぶら下がって引き上げようと努力することで徐々に筋力が付いてきます。その中でまずは1回できるようになり、1回反復を続けていくことで今度は2回、そして同様に続けていくことで回数は伸びていきます。必ずできるようになるので、くじけずに頑張ってください。
コマンドプルアップ
通常の懸垂が横からオーバーハンドで握るのに対して、コマンドプルアップは縦に左右から挟むようにして握る懸垂です。両手で棒を握るのをイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。
背中の厚みを作るのに適した懸垂で、肘周辺の筋群(腕橈骨筋・上腕筋・上腕二頭筋など)も鍛えることができます。
握ったら肩をバーにつけるようにして引き上げていきます。肩を上げて、すくめるようにして近づけるのではなく、肘と肩関節を目いっぱい稼働させて近づけていくようにしてみましょう。
できるところまで引き上げたら、ブレーキをかけながら下ろしていきます。このとき通常の懸垂と同じように肘は伸ばし切らずに、わずかに曲げたところで止めて再び引き上げていくようにします。
右肩の方に引き上げたら、今度は左肩というように左右交互に行うようにしてみましょう。
1・1/2レップス
やり方は通常の懸垂と同じですが、可動域に変化を付けることで刺激に違いを持たせた懸垂になります。
まずは、通常の懸垂と同じようにポジションを取ったら体を引き上げます。上げ切ったら下ろしていくのですが、この時に下ろし切らずに半分くらいまで下ろしたところで再度引き上げるようにします。そして、上げ切ったら今度は通常の懸垂と同じように下ろして引き上げます。これを交互に繰り返していくのがこの種目の方法になります。
つまり、可動域に変化を付ける形で半分下ろす、しっかり下ろす(肘はわずかに曲げておく)を交互に反復していきます。
この方法では、半分下ろして上げる動作の時に筋肉の緊張が持続することから、通常の懸垂に比べて一段キツイトレーニングになります。通常の懸垂に慣れてきた時に取り入れることで成長の停滞を防止したり、停滞を脱却することに繋がりますので、懸垂の純粋なバリエーションとして活用することができます。
アラウンドザワールド・プルアップ
筋肉が強く緊張する時間が長くなるため非常にきつい懸垂のバリエーションです。
広背筋への微細な刺激が移動しながら複雑に絡み合います。そのため、強く引き締まり、整ったシルエットを形成するような芸術的な広背筋を作るのも夢ではありません。
方法は通常の懸垂のスタートポジションを取ったら、弧を描いて体を引き上げます。そのまま連動して逆側に弧を描いて元の姿勢に戻り、再び同じ動作を繰り返していきます。
つまり、円を描くようにして動作する懸垂になります。真っ直ぐ引き上げるのではなく、斜め(上に弧を描く)に引き上げ、斜め(下に弧を描く)に下ろす。これをスムーズな動きの中で連続的に行っていきます。
肩や上腕二頭筋も収縮する時間が長くなることで強く刺激されます。特に肩は丸みを帯び、固く引き締まった筋肉に育てることができるでしょう。
動作を常にコントロールして行う必要があるので、筋肉はほとんど休む暇がありません。乳酸の蓄積が怒涛のごとく押し寄せてきて、心折れそうになるかも知れませんが、歯を食いしばってもう一往復するくらいの気持ちで取り組んでもらえればと思います。
そうするうちに体つきが変わっていくことに気付くことになるでしょう。
プライオ・プルアップ
プライオメトリックス(瞬発力を使ったトレーニング)を取り入れた懸垂で、広背筋の筋繊維を瞬間的、かつ爆発的に収縮させることが求められます。泣きを見るくらいの非常にきつい筋トレ種目です。
筋繊維の収縮スピードと収縮力の面で高いレベルが求められます。それにより広背筋をメインに他の懸垂とはまた違った刺激が入ることになります。より効果を高める場合は、他の懸垂にプラスして2種目でメニューを組むのが有効です。そうすることで広背筋の発達は加速し、整ったスタイルを作り出すことになるでしょう。もちろんこの種目だけでも強く引き締まった背中を作る効果が期待できます。
方法は、肘関節と肩関節を素早く動かし、筋肉のバネを使って体を引き上げます。頂点に達したら一瞬手を離し、すぐさま握り直します。握ったら、筋肉を固めたままゆっくりとブレーキをかけて元の姿勢に戻ります。これを続けて行っていきます。
顔がバーから出るくらいに強く引き上げないとバーを握り損ねてしまうので、1回1回を全エネルギーを使って爆発的に引き上げることが大切です。
体を引き上げるイメージではなく、バーを体に引き付けていくイメージで動作してみましょう。
なお、引き上げる際の動作スピードが早いため、バーを握る力も通常の懸垂に比べて必要になります。よって握力強化の面でも効果を期待できることになります。
逆に言うと、握力が無ければ瞬発力を使って体を上げていくときに指がバーから放れてしまいます。そうなると、この種目を行うことはできません。
その場合は、通常の懸垂をしっかり継続していく中で、握る力も養ってから導入することをおすすめします。
サイクロン・プルアップ
非常に難しい懸垂のバリエーションなので、すぐに取り入れることはできないかも知れません。ですが、いろいろな懸垂をこなしていく中で出来るようになる筋力が養われていきますので、のちの実力試しとしても取り入れてもらえればと思います。
まずは通常の懸垂と同じようにスタートポジションを取ります。ここから素早く体を引き上げていくと同時に股関節を曲げて脚を上げます。このとき斜めに脚を上げて、下ろす時は逆側に下ろすようにします。これを連続的に繰り返します。
この種目では、アラウンド・ザ・ワールド形式のハンギングレッグレイズを組み合わせているので、広背筋だけでなく下腹部も同時に鍛えられることになります。動員する筋群が多くなることで強度は格段に増すのである程度の体力が備わっていないとトレーニングすることは難しいでしょう。
また、脚を前に出すことで重心が前に移動した状態で懸垂を行いますので、広背筋の収縮部位に少し違いがでてきます。背中を隅々まで鍛えるために他の懸垂と組み合わせるのもよいでしょう。
なお、広背筋と下腹部を同時に鍛えられるため時短効果もあります。時間がなかなか取れない人のメニューとしてもおすすめです。
フロントレバー・プルアップ
懸垂とフロントレバー(下記参照)を組み合わせた種目です。
体の使い方が分かっていて、非常に強靭な体の持ち主でないとこの種目はできません。すぐにできる人はほとんどいないと思います。
「やってみたらできた」っていうレベルのモノでもありません。
まずは参考までに留めて、最強の体が出来上がり、自信が付いたらチャレンジしてみて下さい。
フロントレバーは、バーにぶら下がって肘を伸ばしたまま(ロックはしない)肩関節を屈曲させていくことで体を床と平行にする種目です。(言葉で伝えるのは難しいので動画をご覧下さい)
これを懸垂を行った後に行い、懸垂とフロントレバーを交互に行っていきます。懸垂だけでもきついのにその数倍はきつく、難しいフロントレバーを行うのは至難の業です。もちろん、フロントレバーのみを行うのもかなりの熟練者でも難しい種目になります。
そのため、まずはフロントレバーができるようになることからはじめて、数回反復できるようになったら、懸垂と組み合わせたフロントレバー・プルアップにチャレンジする方法を取るのが流れとしてはベストだと思います。
最初はフロントレバーで体を起こしていくことも全くできないと思いますが、1mmでも動かす気持ちで落ち組んでいけば徐々に角度を付けていけるようになります。
体の使い方としては、体を起こすというよりも、バーを押すイメージ(あるいは押し下げる)で動作するとフロントレバーの形になりやすいです。最初は股関節が先行して脚だけが動いてしまいがちになりますが、股関節を真っ直ぐに固定することも十分に意識して行って下さい。動作するのは肩関節のみです。
1アーム アシステッド・プルアップ
片手で行う懸垂です。この種目ではアンダーハンドグリップ(逆手)でバーを握って行います。
片手でバーを握ったら、もう片方の手で握っている方の手首をつかみます。これで純粋に片手で行うよりも負荷が軽くなり、やりやすくなります。
やりやすくなると言っても、両手で行うよりは負荷が高く、握っている方の広背筋は強烈に収縮します。両手で行う通常の懸垂とは広背筋の収縮に違いがありますが、懸垂が楽にできるようなった時に強度を高くする種目として取り入れたり、懸垂との組み合わせメニューとして用いると良い効果が表れることになるでしょう。
また、上腕二頭筋(力こぶ)も非常に使いますので、続けていくことで自ずと力こぶも盛り上がってきます。
広背筋に厚みが欲しい人、腕もしっかり鍛えたい人、広背筋と腕を同時に鍛えたい人は、ぜひ取り入れてみ下さい。
片側が終わったら、握る手を変えて逆側も同様に行います。
ヘッドバンガー・プルアップ
非常にアクロバティックな種目で、広背筋のみならず肩と腕の筋群も最高レベルで求められる懸垂です。
方法は、通常の懸垂のポジションを取り、体を引き上げていきます。バーの位置まで顔がきたら、顔の位置が大きく下がらないようにして腕を伸ばして体ををうしろに移動させます。続けて、その位置をキープしたままバーに顔を近づけて、体を下ろしていきます。
これを繰り返していくことになりますが、フロントレバーができる人や、そこそこ超人的な筋力と運動能力(体の使い方)を持っていないと実現することは難しいです。
体をうしろに移動させる部分はそんなに難しくありませんが、そこから同じ高さで引き寄せる動きは力が抜け気味になり、どうしてもそのまま斜めに下がってきてしまうケースが多くなります。
そのため、実現する手順としては、まずは腕を伸ばしてうしろに移動したら斜めに下りてもいいので、それを繰り返しトレーニングしていきます。そうすると徐々に引く力が養われ完璧なフォームに近づいてくることになるでしょう。
できれば、この種目は最後の方に残して、懸垂のバリエーションに困った時の切り札として取り入れるようにするのがよいかと思います。
また、無理をすると肘関節や肩関節を痛めることになるので、できれば自分で超人に近づいてきたなと実感できるくらいの体を作ってから実施を検討するようにして下さい。
スタンダードプルアップ(スロー版)
通常の懸垂をゆっくりした動作で行う懸垂です。単純ではありますが、動きを遅くするだけで強度は倍増し、非常にきつい筋トレとなります。
通常の懸垂が楽にできるようになってきた時のバリエーションとして最適です。
筋収縮の持続時間が長くなるので、稼働している筋群は隅々まで刺激され、整った印象を受ける体づくりを行うことができます。最初はきついと思いますが、まずは1回できるようになることから始め、徐々に回数を伸ばしていくようにしてみましょう。
動作の速度は、5秒で上げて、5秒で下す。このペースで反復していきます。ただ、あまり時間にこだわる必要もありません。重要なのは、自分に甘さを許さず、出来る限りゆっくりと動作することです。きつくなったら、そこから「もっとゆっくりしてやる!」くらいの気合を入れてトレーニングに取り組んで下さい。
筋トレは、自分との闘いです。気を抜かずに全広背筋を強く収縮させて、驚くべき背中を作っていきましょう。