芸能人やモデルのヒップアップ定番種目「ヒップスラスト」。お尻を効果的に鍛える方法と効果

お尻を鍛えるヒップスラスト

ヒップスラストは昔からあるお尻の筋トレ種目ですが、いまやヒップアップやスタイルアップに余念のない芸能人やモデルの定番種目として多くの人に認知されるようになりました。プランク(体幹トレーニング)程でないにしても、Youtubeやテレビ、インスタなどで目にする機会が特に多い筋トレ種目の一つだと言えます。

そこで、今回はヒップスラストの方法を動画で学ぶと共に、どのような筋肉が鍛えられるのか、効果はどのようなものがあるのか見ていくことにしましょう。

ヒップスラストの方法

ヒップスラストには、大きく分けて体の重みを使って行う方法(自重トレーニング)とおもりを使って行う方法(フリーウエイトトレーニング)があります。

女性や体力に自信のない人は、自重で行う方法からはじめ、慣れてきたらおもりを使う方法へと徐々にレベルアップしていくようにしましょう。

続けていけば必ず効果がありますので、自分に負けずに頑張ってください。

初心者向けのヒップスラスト

バーベルなどで負荷をかけずに行う自重でのヒップスラストです。


まずは、ベンチや椅子、台など(以下ベンチと表記)を用意して下さい。

動作中にベンチが移動する場合があるので、摩擦がきくものをベンチの下に敷くか、壁に付けて行うようにしましょう。安全には十分に注意して下さい。

準備できたら、ベンチのふちに上背部を置き、脚を少し前に伸ばします。股関節の角度が90度程度になるくらいまで脚を伸ばすのが目安になります。

この姿勢からお尻を上げていきます。少し腰を反らすところまで上げていきますが、過度に反らさないようにして下さい。

良くありがちなのが、お尻を上げることだけに意識を向けてしまい、上半身があまり稼働しないことです。そうなると股関節の伸展が疎かになり、お尻だけでなく、太ももと脊柱起立筋もうまく刺激されません。これでは筋トレ効果を十分に得ることができなくなってしまうので注意して下さい。

それを避けるために上半身もお尻を上げていくのと連動して、稼働させるようにします。ベンチに接地している上背部を軸にして肩をベンチに近づけていくイメージで動作すると股関節の伸展動作がしっかりとできるようになるでしょう。

慣れてきたら、動画にあるようにダンベルを使って負荷をかけるようにします。初心者でも自重での方法では負荷が軽い場合は、最初からダンベルを使ってもOKです。

動作開始前(スタートポジション)の股関節を曲げたくぼみにダンベルを置き動作を行っていきます。上げ切った時に不安定な状態になるので、両手でしっかりと固定しておくようにします。負荷を徐々に上げていく場合は、ダンベルの代わりにペットボトルを用いて行うこともできます。

10~15回×1セットからはじめ、慣れてきたら2~3セットに増やすようにしてみましょう。

ヒップスラストが難しい場合はヒップリフトよりスタート

体力的に自重でのヒップスラストが難しい場合は、下記動画のヒップリフトという床に寝て行うお尻のトレーニングから始めるとよいでしょう。

慣れてきたら、自重でのヒップスラストに移行することで体力に合わせてトレーニングを進めることができます。

さらに負荷をかけて行うヒップスラスト

自重、またはダンベルなどで負荷をかけたヒップスラストが楽にできるようになってきたら、バーベルを使ってさらに負荷をかけていきます。そうすることでさらにボディメイクに磨きをかけていくことができます。

動作のやり方は自重やダンベルで行う方法と同じです。違いはバーベルを使うかどうかです。

徐々に慣らしていくために、まずはバーにプレート付けず、バーのみで行うことをおすすめします。慣れてきたら、一番軽いプレートを両端に付け、それにも慣れてきたら次に重いプレートを付けます。そのようにして徐々に負荷を上げていきましょう。

重量を増やすことができると言うことは、体力が付いてきている証拠であり、それに従って引き締めやヒップアップもさらに進んでいくことになります。

ダンベルと同じようにバーベルも腰のくぼみに置いたところから動作することになります。

女性でもバーのみであれば、先にバーを持ち、しゃがんで姿勢を取る時にバーのくぼみに置く方法でポジションを作ることができます。

ただ、当然プレートを付けていくほど重くなり、バーベルを手に持ってスタートポジションを取るのが難しくなってきます。

その場合は、まずはバーベルを足先に置いて下さい。そして、ベンチを背もたれにする形で座り、脚を伸ばします。その状態で手を伸ばし、バーベルを転がしてお腹の方へ引き寄せます。ここから膝を曲げて、お尻を少し上げたところがスタートポジションになります。ここまでの流れは動画をご覧いただければ一目瞭然です。あとは、自重でのヒップスラストと同じように反復していきます。

なお、バーは細くて金属でできているので、動作中に骨盤が痛くなったり、下腹部に圧迫を感じるかも知れません。そのため、動画のようなパッドを付けるか、クッションなどを挟んで行うと過度な痛みや圧迫感を防ぐことができます。

筋トレで大切なのは、慣れてきたら負荷を上げることです。同じことをずっと繰り返していても、そこからなかなか成長しなくなってしまいます。

そして、反復中にすぐ諦めたり、楽をしようとしても筋トレ効果は一向に上がっていきません。楽をしないことを肝に銘じ、歯を食いしばって頑張っていきましょう!

ヒップスラストで鍛えられる筋肉

お尻の大きな筋肉「大臀筋」

メインで鍛えるのは、お尻の筋肉。お尻の筋肉は3つの筋肉で構成されていて大臀筋(だいでんきん)、中臀筋(ちゅうでんきん)、小臀筋(しょうでんきん)の3つに分かれています。

大臀筋

図を見ての通り、大臀筋はお尻の中で最も大きな筋肉。お尻の丸みを形成する最も重要な筋肉でスタイルづくりを行う上で真っ先に鍛えてあげる必要のある筋肉です。

この大臀筋を鍛えることができる筋トレが「ヒップスラスト」です。

大臀筋は股関節の伸展を機能として働きます。脚をうしろに引く(反らす)動作ですね。

立った姿勢で股関節を軸に脚をうしろに引いてみてください。そのまま手のひらや指で触ってみると固くなっていることが確認できると思います。実はこの脚をうしろに引く方法も一つのトレーニングとして活用でき、高齢者や体力が低い人が下半身の導入種目として用いる場合もあります。

この大臀筋の働きを活用してさらに負荷をかけて行うのがヒップスラストです。

ヒップスラストはベンチや椅子、台などに背中を付けて、お尻を持ち上げる形で動作します。初心者向けとしては、シンプルに自分の体の重みだけを負荷(自重)としてトレーニングすることもできますし、負荷が足りなくなってきたらバーベルなどの器具を使うことでさらに負荷をかけることができます。

自重で行う場合も負荷をかけて行う場合もフォームは同じ。動画のフォームを見てみるとお尻を上げていくときに股関節が伸展していることが分かると思います。最大に収縮する局面は、上げ切った時で触ってみるとカチカチになっていることが確認できます。

このように鍛えたい筋肉がどのような動作で使われるかを意識することは正しいフォームを身に付けたり、成果の善し悪しに反映することになります。理解したうえでトレーニングすることをおすすめします。

ただやるのではなく筋肉の働きにも目を向けてトレーニングを進めて下さい。

ヒップスラストだけでも大きな効果が期待できる

完璧に鍛え上げて、細かい部分も整えていこうと思ったら、中臀筋と小臀筋を鍛える専門トレーニングも加える必要がありますが、ヒップスラストだけでもヒップアップや適度なボリューム感を伴った形のよいお尻を作ることが可能です。

中臀筋と小臀筋は、大臀筋が上からかぶさるようにして部分的に重なり合っています。これにより大臀筋を鍛えることで一定の範囲ではありますが、下から包み込むようにして中臀筋と小臀筋のたるみを防いでくれることになります。

ヒップスラストで中臀筋と小臀筋が鍛えられるわけではないのですが、大臀筋がサポート役になってくれることでヒップスラストだけでも大きなスタイルアップ効果が期待できる理由になります。

そのため、まずはヒップスラストを行い、スタイルアップが進んでいく中で、お尻をもっと洗練させたい、腰周りをもっと引き締めたいと思ったら中臀筋・小臀筋をターゲットにした専門トレーニングを追加すると良いでしょう。
(ここでは無理のない方法でトレーニングを始められることに重点を置いています。続けられそうなら最初からメニューに組み込んでも構いません)

そのときに取り入れて欲しい筋トレ種目は「サイド・ヒップレイズ」という四つんばいの姿勢で脚を横に広げる筋トレ種目です。股関節の外転運動により中臀筋と小臀筋が起動することで、お尻の上部を引き締めていきます。

中臀筋は、お尻の上部(腰の下あたり)にあり、その下に隠れて小臀筋(外から触れることはできません)があります。この部分がたるむとお尻の上(腰の下)が横に広がったように崩れが出てきます。

そこで、このような大臀筋を鍛えるだけではサポートできない部分を細やかに鍛えていくことで、腰周りを絞り込み、さらなる美尻や美しい腰周りを作ることができるようになります。

まとめますと、程度の差はありますが一般的に考えられる “美しいお尻”を作る場合は、ヒップスラストを徹底的に行っていくだけでも十分可能です。

一方、モデルのように細部にわたりボディメイクしたい、もっと洗練させたい、腰回りがどうも気になる、このような場合は体力や目標に応じて、中臀筋と小臀筋の種目をメニューに組み込むと良いかと思います。

太ももの裏「ハムストリングス」も鍛えられる

ヒップスラストには他にも鍛えられる筋群があります。太ももの裏の筋群・ハムストリングスです。

ハムストリングスは股関節の伸展により機能します。ヒップスラストの動作は上述したように股関節の伸展運動なのでおのずとハムストリングスも作用することになるのです。

ハムストリングスが鍛えられることで、太ももの引き締め効果がある事はもとより、お尻と太ももの境界をクッキリさせる効果もあります。

このようにヒップスラストは、直接的にお尻を鍛えるだけでなく、周辺からもアプローチできるので複合的な効果で美しいお尻のシルエットを作り出すことができます。

ヒップスラストは、自重トレーニングとして自分の体の重みのみを使った方法(バーベルやダンベルを使わない方法)からできるので、初心者でもやりやすい筋トレです。しかも、効果的とあらば、ヒップアップなどお尻をスタイルアップしたい人にとっては取り入れる理由はあっても、取り入れない理由はありません。

背中を走る「脊柱起立筋」も鍛えられる

ヒップスラストは、腰付近に付着している脊柱起立筋も鍛えられます。脊柱起立筋は、正しい姿勢を保ったり、骨盤を正しい位置にセットする上で大切な筋肉になります。

脊柱起立筋は、胸最長筋、胸棘筋、胸腸肋筋、腰腸肋筋で構成されていて、これらの筋肉をまとめて脊柱起立筋と呼ばれています。

この中でも胸最長筋と腰腸肋筋は腰(骨盤)を起始として上に伸びるように付着しています。

そのため厳密に言えば、ヒップスラストで鍛えられる筋肉は、胸最長筋と腰腸肋筋になります。さらにその中でも腰から近い部分(以下、脊柱起立筋の腰付近と呼びます)が中心に鍛えられることになります。

脊柱起立筋の腰付近がなぜ鍛えられるかと言うと、脊柱起立筋は脊柱(背骨)の伸展を機能とし、その脊柱の中でも腰椎の伸展がヒップリフトの動作によって起こるからです。

ヒップスラストで腰椎の伸展が起こるのはどの局面かというと、お尻を上げ切った時です。この時に腰椎が伸展し、腰周りを起点に脊柱起立筋が刺激されます。

このようにヒップスラストはお尻周りを総合的に鍛えることができる筋トレ種目であることが理解できたかと思います。

お尻を上げると言う単純なように見える種目ですが、お尻周りでは複雑な筋活動が起こっています。いろいろな効果がある筋トレなので、スタイルアップだけでなく健康運動としても取り入れていただければと思います。

ヒップスラストの効果

効果については、これまでお話ししてきた中で出てきた部分もありますが、おさらいを含めて確認してみましょう。

大臀筋を鍛えてヒップアップ&スタイルアップ

ヒップリフトで鍛えられる筋肉の主役は「大臀筋」であることはお話しした通りです。

お尻の中のお尻、お尻の一番大きな筋肉、それが大臀筋です。

大臀筋を鍛えることで、どのような変化、効果があるかというと、お尻の丸みやシルエットを作り出すことです。

それは、お尻が持つ本来の形を研ぎ澄ました現れであるとも言え、実に美しい造形を作り出します。

お尻がキュッと上がってハリのある様、いわゆるヒップアップは、その造形の一端を成しつつも最たる効果ではないでしょうか。

そして、横から見た時のお尻の厚み。厚みも造形の重要な要素です。

お尻に厚みが出ると腰からお尻、そして太ももにかけてのシルエットがくっきりと出て女性らしいS字カーブを作り出します。

逆にお尻の幅にも目を向けなければいけません。これはうしろから見た時の造形に関わってきます。

大臀筋が鍛えられることでお尻の左右から内側に引き込む力が備わります。そのため、うしろから見た時に横への広がりが抑えられてキュッと締まったラインを作り出すことができるのです。

このように、ヒップスラストでお尻を鍛えることで、体のシルエットや造形についていろいろな効果が期待できることが分かります。

特に女性については、出るところは出て、締めるところは締めるといった肉体美を作り出す部分がお尻の筋肉です。ヒップアップをしたい、引き締めてラインを綺麗にしたい、形を美しくしたい、そのような目標を持っている人は、ぜひヒップスラストで目標を実現して下さい。

太ももの裏側を引き締める効果

ヒップスラストは、股関節の伸展動作が入るので、太ももの裏・ハムストリングスにも刺激が入ります。

それにより、太もも裏が引き締められ、脚のスタイルを良くする効果が期待できます。

また、ヒップアップすることと相まって、太ももの裏が引き締まることで段差が強調されて、お尻と太ももの境界がくっきりと出てきます。境界が出てくることで、下半身のぼやけた印象が薄れ、いわゆるナイスバディを作ることができます。

このように出るところは出て、凹むところは凹むという、肉体美を作る上で欠かせない効果がヒップスラストにはあります。

腰周りを引き締める効果

腰椎の伸展動作が入るため、腰周りの脊柱起立筋(下背部・お尻の上中央あたり)にも刺激が入ります。

下背部が鍛えられることでスッキリした印象になり、背中からお尻にかけての曲線美に磨きをかけることができます。換言すると、腰とお尻の境界がはっきりしてくることで、出るところは出て、凹むところは凹むというスタイルアップ効果が期待できることになります。

このようにヒップスラストは、下側ではお尻と太ももの境界、上側では下背部とお尻の境界というように上と下から挟み込むようにしてお尻周りのスタイルを激変させてくれるのです。

また、筋肉を鍛えてボディメイクしていくことは、スタイルアップに最も大きな影響を与える要素ではありますが、同じくらい重要な要素が姿勢です。

脊柱起立筋を鍛えることで、骨盤を引っ張る力が備わります。つまり、骨盤が立ってニュートラルに保ちやすくなるわけです。

これがどのような場合に効果的かというと、腰が反り過ぎて(反り過ぎてもバランスが崩れて、美しいラインが作られません)、お腹が前に突き出ているような場合です。

このような場合、骨盤が前傾することでお腹が前に突き出されるわけですが、下背部の脊柱起立筋が鍛えられることで、骨盤がニュートラルに補正され、押し出されていたお腹が内側に引き込まれます。それに伴って、過度に反った腰に自然なカーブが描かれ、姿勢も美しく整うことになります。

これが脊柱起立筋が鍛えられることによる効果です。姿勢がスタイルにも影響していることが良く分かったのではないでしょうか。

もちろん、脂肪でお腹が出っ張っている場合は、脂肪を減らさないとお腹はペッタンコにはなりません。筋トレと同時に有酸素運動や栄養管理も取り入れて、脂肪を減らす努力も並行して行っていきましょう。

しかし、姿勢が原因の場合は、骨盤をニュートラルにすればいいのですから、意識的に骨盤を立てるだけでもすぐにへこみます。もっとも、これは一時的なので真のスタイルを手に入れたとは言えません。

そこで、ヒップスラストなどの筋トレで意識しなくても骨盤の位置を正しくセットできるように脊柱起立筋を鍛えることが大切になるのです。続けていけば、姿勢も良くなるし、ぽっこりお腹ともサヨナラです。

意外と姿勢でぽっこりお腹になっている人も多いので、一度自分の姿勢を確認してみ下さい。

また、腰が反り過ぎると、椎間板が圧迫されて腰に不調を招く原因にもなりますので、この点でも改善することが望ましいと言えます。

もっと言うなら、腰の反りから猫背になってしまうことも少なくありません。

どういうことかというと、腰が反ることで上半身にはうしろに倒れようとする力が働きます。脊柱を下で支える腰椎が前に出ることで、上半身(頸椎・胸椎)は残されて不安定な状態にさらされることは想像できると思います。そのとき、うしろに倒れようとする重心バランスを引き戻そうと、顎を前に突きし、頭を前に出すことで重心バランスを保とうとします。

頭を前に出すことで頸椎(首)は傾き、それに引っ張られるようにして背中部分の背骨、胸椎が丸みを帯びてきます。これが猫背になる要因の一つです。

逆に言うと猫背の人は筋トレで改善でき、そうでない人は予防ができるということでもあります。

ぜひ、ヒップスラストでいろいろな効果を体感して下さい。

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